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視覚障害者からみた『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』

弱視をテーマにしたドラマ『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』が始まりましたね。
弱視→全盲になった当事者ならではのおすすめポイントを書いてみたいと思います。

”特別”じゃなくて”普通”を意識させてくれる

障害者が主人公の作品って、ハンデを負って人生どん底とか差別されてかわいそうみたいな描写が多かったり、障害があるけどピアニストになるとか奇跡が起きて障害が治ったみたいなリアルではごくまれなストーリ設定だったり、”人とは違う””特別”な存在として描かれることが多いように感じるのは私だけでしょうか?
『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』も弱視のユキコちゃんが周りに理解されない葛藤を描いていますが、中身は純粋なのに見た目で判断されてしまうヤンキーの森生や、これから出てくる他のキャラクターもそれぞれマイノリティな一面に葛藤を抱えているので、何が”普通”なの?みんな”特別”なんかじゃないんだよと思わせてくれます。
原作コミックスを読んだとき、それがラブコメで気楽に見れるところが良いなと思ってたのですが、ドラマになってもちゃんと引き継がれててとてもよかったです。

ドラマだから身近に感じられる

原作コミックスは多くの人に弱視を知ってもらいたいと書き始めたそうで、視覚障害に関する情報やマイノリティな心境がたくさん表現されているんですよね。
漫画ならではのコメディタッチやイラストで描かれていることで、子供も含めいろんな人がとっつきやすくていいなと思っていました。
それがドラマになると知ったとき、リアリティがありつつも重くならないよううまく実写化できるのかなと少し気になってたんですよ。
ところが見てみたらすごくよかったんですよね!
映像が見れる弱視の当事者や周りの健常者からは動きがリアルで良かった、見えにくさが伝わるよう画面の一部をぼやかすなどの工夫がされてて良かったと聞きましたし、音声でドラマを見ている私自身も、原作通りの明るい印象が良いなと思いました。
弱視の視界とか視覚障害があって特徴的になる動作とかは、実写化だからこそよりつたわりやすくなる部分だと思うんですけど、それを自然に見せるのって難しいですよね。
視覚障害者からいろんな話を聞いたり、実際に見えにくい体験や動作の練習をしたりしたキャストやスタッフの情熱がすごいから、リアルで自然に表現できているんだろうなと思いました。
あと、点字ブロックの上に自転車が置かれている映像なんかは、普段自然と見ている光景そのものが映るから身近なこととしてとらえやすく、それもまた実写化の良さだなと感じましたよ。

弱視だから伝えられることが多い

目を閉じたりアイマスクをつけたりすれば、全盲は簡単に体験できるし想像がつきやすいですよね。
だから視覚障害=全盲、白杖=全盲っていうイメージが持たれやすいんじゃないかと思います。
でも実際は全盲よりも弱視の方が多いんですよね。
見えにくさや症状が人によって違うからなかなか理解されにくい弱視ですが、この作品ではユキコちゃんと空ちゃん2人が弱視だから、いろんな視覚障害を知ってもらえるんじゃないかなと思います。
また、弱視は拡大読書器やルーペを使えば文字が読めたりして、全盲が主人公では紹介できない福祉用具が出てくるのも良いですよね。
それでいて、よく見えないから手さぐりになったり外で手引き誘導してもらったりするのは全盲と同じだから、視覚障害の情報を多く伝えられるのは主人公が弱視ならではだなと感じました。

見逃し配信で音声ガイドが聞けるのは初!?

近年、登場人物の動きや場面の説明をしてくれる音声ガイド(解説放送や副音声とも言います)が聴ける作品が増えてきました。
映像が見れない私にとってはとてもありがたいことです♪
でも、全ての作品ではないし、テレビ放送では音声ガイドがあったのに動画配信サイトでは聴けなくなるというのがこれまでの流れでした。
それが今回は違うんですよ!
弱視が主人公の作品だからだと思うんですけど、『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』はTBerでも音声ガイド付きの解説放送版があるんです!
これがきっかけで音声ガイドを知ったり聴いてみたりする人がいたら嬉しいですよね。
そして、もっといろんな作品に音声ガイドがついたり、動画配信サイトでも音声ガイドが聴けるのが当たり前になったら良いなと思います。

まとめ

『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』のおすすめポイントを、視覚障害当事者の目線で書いてみました。
ラブコメだから重苦しくない、けど気付きがいっぱいのこの作品。
視覚障害あるあるがリアルに映像化されているので、ぜひたくさんの人に見てもらいたいです☆

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