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全盲って真っ暗なの?

「全盲の人の視界って真っ暗なの?」
こんな風に何度か聴かれたことがあります。
私自身、全盲になるまではそう思っていました。
でも、ちょっとだけ違うんですよね。
あくまでも私の見え方ですが、全盲になった今どんな風に見えているのか書いてみます。

全盲になる少し前

光を感じなくなる少し前、文字は全くわからないけど、電気の形がわかるくらい見えていた時がありました。
手動弁から光覚辨の頃ですね。
その頃は電気を目印にして歩くことができて、光を遮られたことで障害物に気付けたり、ぼんやりと形がわかったりすることもありました。
わずかにしか光を感じなくなってからは、目を閉じた時と似ていました。
目を閉じていても、まぶた越しに明るさって感じますよね。
何の影も形も見えないけれど、そんな風に何となく明るさを感じていました。
それだけでも電気がついてるとか、家の中から天気がわかるとか、ちょっとした手掛かりになってましたね。

全盲は灰色の世界

全く光を感じなくなった今、見えているのは灰色の空間。
その灰色は光を観ても暗く感じたり、寝る前の真っ暗な部屋で白っぽくなったり。
なぜか色の濃さが変わるんですけど、その場の明るさとは関係ないので何の手掛かりにもなりません。
視覚障害を疑似体験する時によく使われる、アイマスクを付けた時の真っ暗とはちょっと違うんですけど、何も見えていないので結果的に同じ感じです。
でも、時々晴れの日に眩しく感じることもあります。
目に光を当ててもわからないのに不思議なんですけど、太陽の熱とか空気の流れとかで今までの記憶と結びつけて、脳が眩しいと感じさせているのかななんて思ってます。

全盲は想像の世界

私の場合、先天性の全盲ではなくて、小学生まではただの近視で、28歳までは0.4の視力がありました。
身の回りの物の形を見たことがあるし、今住んでる家も職場までの風景も知っています。
だから、何か触ったり音を聴いたりすると、風景や物の形が想像で浮かんでくるんですよ。
視覚的には見えていないのに、見えているような感じがするんですよね。
ドラマの話をする時に、あれ?これ目が見えなくなってからのドラマだっけ?と思うくらい、自然に想像して見ています。
見えていた時で言えば、寝る前に翌日のことを想像するのに似ているかもしれません。
明日はどの服を着ようかな?と組み合わせを考えて、その服を着た自分の姿を想像したり、
外出先までのルートをシュミレーションして、どんな風景でどんなお店があったか思い浮かべたり
全盲になってからは、常にこれをやっているような感じなんですよね。

想像で見える世界は変わる!

目にしたことがあるものばかりの身近な風景は想像しやすいですが、見たことのないものはどうでしょう?
テーマパークのような非日常の空間、旅行先のきれいな景色などは想像がつきにくいんですよね。
こんな時は、小説の場面を想像するように、一緒に行った人の説明を聞いて想像するんですけど、見ているものを説明するってなかなか難しい。。
全盲になったばかりの頃は、景色の良いところに出掛ける楽しみがなくなったなぁと落ち込みました。
でも、情報があれば想像できる、想像次第で素敵な世界も見えるって気づいた時、どうしたら想像しやすい情報が得られるのだろうと考えるのが楽しくなってきました。
最近はどうやったら想像しやすいかわかってきて、自分で色々聞くようになりました。
「水の音がするけど川があるの?幅はどれくらい?滝もある?どの辺か指ささせて。」
「山があるの?どこからどこまでか、私の手で山の形なぞって。」
「前に行った○○の景色に似てる?」
時には体を使いながら教えてもらいます。
そして、今までに観たことがある風景や映像、写真などの記憶を組み合わせて、どんどん想像を膨らませていきます。
もしかしたら、目の前の景色よりも素敵な景色を想像しているかもしれませんよ。

まとめ

全盲は真っ暗なようでちょっと違っていて、想像でいろんなものが見えているんです。
正直、本当の景色を見たいと思うこともあるけれど、創造で見る景色も楽しかったりします。
他の全盲の方はどんな風にみえているのかな?
病気とか見えなくなった時期によって、きっと見え方は違うと思うんですよね。
よかったら、コメントで教えてもらえると嬉しいです♪

コメント

  1. 山ちゃん より:

    こちらでは初めましてですね。
    自分は左右とも真ん中の視野がなくて、
    全体的に透明で白っぽい砂嵐が見えています。
    左は周辺が少し見えてます。
    といっても文字や形をとらえることはできず、
    強い光を出すもの、例えば電灯の形とかくらいが分かる程度で、
    ちょうどみくりさんの全盲になる少し前の状態かなぁ。
    右目は5年くらい前から視野のほとんどの部分に真っ黒いものがでてきました。
    若干外側の光が感じる程度で、ちょうど日蝕みたいな感じに思っていました。
    見えない、というより、真っ黒いものが見える感じ。
    なので目の前で手を振っても明るいものを振っても何も感じません。
    不思議なんですが、
    出た当初は日によってそれがあったりなかったりしてましたが、
    今は毎日あって、全部真っ黒じゃなくて、例えば今は右上はグレーに見えてます。
    透明な砂嵐は見えてるから、砂嵐は真っ黒いものの手前にあるのかな。
    なので右目はほぼ全盲ですね。
    ということで、自分も想像の世界を広げて生活してますよ。
    自分でイメージしたり、
    人から教えてもらって自分で作り出していく世界ですよね。
    パソコンの画面とか、自分では見えているように感じることがあるけど、
    実際にはその方向にはなくて、
    自分の想像で作った映像なんだってビックリすることがあります。
    長くなっちゃった 笑
    見え方の説明って難しいですね。

    • みくり より:

      山ちゃん、コメントありがとうございます。
      少し光を感じるという意味で同じ見え方でも、黒いものが見えるとか透明の砂嵐が見えるとか、細かいところではやはり人によって違うんですよね。
      パソコン画面のイメージの話はとても共感します。
      画面の中の配置がイメージと違うのはもちろん、画面の方を向いているつもりなのに、いつの間にかもっと上や左の方を向いていることがあるんですよね。
      周りの人からするとどこ向いてパソコン操作してるの?って感じでしょうけど、画面の中の配置をイメージしているとどんどんずれていっちゃうんですよね。苦笑
      ふと気づいた時に私も驚きます。

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