視覚障害者が白杖を持ち始めるとき、「健常者じゃなくなってしまう」「注目を浴びながら歩くのは嫌だ」といった葛藤を抱く人は多い。
私はというと、「白杖をもてば周りの人が避けてくれるからぶつからなくてすむ」という気持ちが大きくて抵抗はなかった。
全盲になってからは「注目されたい」と思うようになった。
それは目立ちたいとかじゃなくて、「視覚障害者はこうやって生活しているんだよ」とただ知ってほしいと思うから。
だから、弱視を取り上げた『恋です~ヤンキー君と白杖ガール~』がドラマになってすごく嬉しかった。
ひと言で視覚障害といってもいろんな見え方があること
白杖は全盲の人だけじゃなく、見えてるけど見えにくい人も使うこと
視覚障害者もスマホを使うこと
こういったことを少しでも知ってもらえると思ったし、そしたら「白杖を持ってるのに何でスマホを使えるの?見えてるんじゃないの?」と誤解されたり傷つけられたりする人が減ると思ったから。
それに、見守ってくれる人、サポートしてくれる人が増えたら、今よりも安心して歩けるかなと思ったんだよね。
でも…、たくさんの人が注目するということは良いことばかりじゃなかった。
「走ってく人がいたと思ったら視覚障害者に声掛けしてた」ってサポートする様子を盗撮してSNSに投稿してる人がいる。
「視覚障害者が慣れた様子で歩いてたよ。点字ブロックの上には物を置かないようにしないと。」と、注意喚起する内容でさえ、盗撮した視覚障害者の写真が使われてたりする。
なんでこうなってしまうのだろう。。
ただでさえ白杖を持っているだけで個人の特定がされやすいのに、画像に付随した日時や位置情報、写り込んだもので場所の特定ができてしまうことをわかっているのかな。
目が見えないからバレナイといって、自宅まで後をつけられたり窓から盗撮されたり、たまたま抜き忘れた鍵で合鍵を作られて自宅に盗撮カメラを設置されたり、”視覚障害者だから”狙われることもあると知っているのだろうか。
そもそも相手が誰であろうと盗撮はよくないこと。
撮影した本人だって、自分が勝手に盗撮されて、そのうえSNSに投稿されていたら嫌なはず。
よく考えて行動してほしいよ。。
白杖が目に留まるようになったのは嬉しいこと。
それで盗撮するのではなく、ちょっとの思いやりを向けてほしい。
盗撮が怖いから外に出れなくなるんじゃなくて、気にかけてくれる人がいるから出かけるのも怖くないと思えるように。
エレベーターのボタンを押しててあげる とか
ぶつからないように道をゆずる とか
危ないから声を掛ける とか
子供もその親も、障害者も高齢者も健常者も、みんな助け合いで平和に過ごせるはず。
視覚障害者だから特別にではなくて、身近な人に対してと同じようにほんのちょっとの思いやりを向けてほしい。
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