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白杖=全盲とは限りません!  私が白杖を使い始めたきっかけ

私が外出する時に欠かせない白杖(はくじょう)。
白杖を持っている人=全盲とイメージしがちですが、私は全盲になる前から使っています。
今回は、私が白杖を使い始めたきっかけを白杖の役割とともに書いてみます。

白杖を使う前の見え方

私が白杖を使い始める頃は0.5くらい視力がありました。
でも右目は失明していて、見える左目もかなり視野狭窄が進んでいたんですね。
視野が狭いと、右側の人に気付いて避けたら左側の人にぶつかる、前を向いて歩いていても足元は視界に入らないから段差を踏み外す、なんていうことがよく起きるんですよ。
それでも、段差や柱といった”いつもあるもの”は、場所を把握して注意していればある程度回避できました。
でも、すれ違う人とか日々変わるものって、どうやったってぶつかっちゃうんですよね…。
周囲の人だって、白杖を持っていない私が視覚障害者とは思わないし、そんな人が避けようともせずに向かってくるわけですから、「何でぶつかってくるの?ちゃんと前向いて歩いてよ!」と言いたい気持ちになることでしょう。
この頃は人にぶつかるのが申し訳なくて、通勤や人込みで歩くことが少しストレスになっていました。

白杖を使い始めるきっかけとなった事件

仕事に向かう朝、電車から降りたホームにはたくさんの学生がいて、いつも立ち止まって人込みをやり過ごしていました。
その日もいつものように柱の近くに立ち、右から左へ流れる人の波が過ぎ去るのを待っていたんですね。
そして、そろそろいいかなぁと左を向いて歩き出した途端ゴツンッ!!
柱に正面衝突してしまいました。
普通なら体の向きを変え始めた時点で柱が視界に入るはずなのですが、視やが狭く柱と反対側にいる人の方に視線を向けていたので気付けなかったんですよね。

口の中は2か所くらい切れて血の味がするし、前歯はグラついてるし、かなりの衝撃と痛さでした。泣
幸い歯は折れていませんでしたが、仕事の後に歯医者に行って処置をしてもらうまでは、喋るのもご飯を食べるのも大変でしたね。
「柱に正面衝突するって目の前も見えてないってこと!?」と歯医者さんには驚かれ、家族や上肢にはかなり心配されました。
ちょうど身体障碍者手帳が6級から2級になって、自分の見え方が重度の視覚障害なんだと知った頃だったので、これを機に白杖を購入しましたよ。

白杖の役割

白杖は、正式には視覚障害者安全つえといい、視覚障害の程度が重くなるほど外を歩くのにかかせないものになります。
白杖の役割は
①段差や電信柱といった周囲の障害物や路面の変化など、歩行に必要な情報を得る(情報収集)
②障害物にぶつかるときや段差を踏み外したときなど、衝撃から体を守る(安全確保)
③見えづらい・見えないことを周りの人に伝える(シンボル)
の3つの役割があります。

白杖の携行については道路交通法第十四条に
『目が見えない者(目が見えない者に準ずる者を含む。以下同じ)は、道路を通行するときは、 政令で定めるつえを携え、又は政令で定める盲導犬を連れていなければならない。』
と定められています。

また、
『目が見えない者以外の者(耳が聞こえない者及び政令で定める程度の身体の障害のある者を除く。)は、政令で定めるつえを携え、又は政令で定める用具を付けた犬を連れて道路を通行してはならない。』
とも書かれていて、聴覚障害や平衡機能障害といった、視覚障害者以外が使うことを認めています。
見えるけど見えにくい視覚障害者も聴覚障碍者も、見た目では障害があるとわからないから、役割③にあるように白杖を使って周りに知らせましょう、他の通行人や車は白杖使用者に配慮しましょう、ということですね。

白杖を持ち始めた時の心境

白杖を持つということは、「私は障害者です」と言いながら歩くようなもの。
だから、白杖を使い始めることに抵抗を感じる方が多いですよね。
でも、私は全くそんなことありませんでした。
白杖を持っていれば避けてもらえるから人にぶつからなくてすむ
人にぶつかってしまっても「目が見えないから仕方ないか」と思ってもらえる
柱や看板にぶつかっても不思議な目で見られない
そんな風に思ったからです。
実際、白杖を持って歩くようになったら人にぶつかることが減って、外出することに対して気持ちが軽くなりました。
ただ、片手がふさがることに慣れるまでは時間がかかって、最初のうちは人の少ない場所や明るい場所では鞄の中にしまっていることもありましたよ。
でも、だんだん白杖を持っているだけで安心♪みたいになってきて、いつの間にか外出する時は必ず持ち歩くようになっていましたね。

まとめ

全盲になった今では欠かすことのできない白杖。
白杖を持っている人を見かけると、「あの人目が見えないんだな」と全盲を想像しがちですが、見えてるけど見えにくい人や視覚障害以外の人も使っていることをもっと知ってほしいです。
私はこんな風に白杖を使い始めましたが、みんなそれぞれに見え方やきっかけが違うと思うんですよね。
ぜひコメント欄で教えてください!
白杖を使い始めようか悩んでいる人が、これを読んで一歩踏み出せたら嬉しいですよね。
白杖と仲良くなれたら、きっと楽しいお出かけができますよ☆

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